日本では当たり前のことで、空気みたいなことが実は成功の秘訣だったりします。
1.5ヵ年事業計画を立てる
立上初年度から5年目までの年次の事業計画書を作りましょう。
市場開拓、商品開発、販売方法、資材調達、生産体制、物流体制、アフターサービス、リスク対策、人材採用、人材教育などについての考え方を文書にまとめてみましょう。
自分の頭の中を整理することで、意外と抜け落ちていたことなど事前に分り、進出してから慌てたり後悔したりすることがないようにしましょう。
次に、文書にしたことを実行した場合を数字で表現してみましょう。
年次の売上計画、投資計画、人材計画、資金計画、原価計算、損益計算、残高計画(貸借対照表)を作れれば最高ですが、難しい場合は売上計画、原価計算、損益計算だけでも作りましょう。
これが現地法人経営のPDCAサイクルの基軸となりますので、毎年更新するようにしましょう。
2.月次の予実績管理を行う
年度末が近付いて来てから、あるいは年度決算の後に利益が少ないとか、ましてや赤字が出たとかと騒いでも時すでに遅しです。
そうならないように、年初から予算達成の意識を持ち、施策を繰り出さなくてはなりません。
事業計画の中の初年度分の売上計画、原価計算、損益計算を月次に分解しして、月次予算を作っておきましょう。
そしてそれぞれの毎月の実績との差異を確認し、もしも利益が予算に対して不足した場合は、今後どのような施策で年度末までに挽回すべきを計画し実行に移します。
3.実行計画は5W1Hを明確にして共有する
月次予実績管理に基づく対策だけでなく、毎日色々な問題が生じてそのための対策に追われる日々を送ることになるでしょう。
その時に忘れてはいけないことは、何をWhat、誰がWho、何処でWhere、何の目的でWhy、何時までにWhen、どのようにHow実行するのかを明確にして、関係者全員で共有することです。
具体的には、事務所の一画に大きなホワイトボードを設置して、その上に上記の内容を記載出来る表を用意し、毎朝関係者がそのボードの前で、昨日の進捗とそれに基づく今日の行動予定を確認することです。
事務所の一画にあるボードを誰でも見れるので、今、何が問題で、誰が何をすべきなのか皆が分るようになります。
4.生産・販売・在庫(PSI)管理も視える化して共有する
毎日の予定と実績の進捗が見える様に、上と同じように事務所の一画にホワイトボードを設置して関係者がその前で差異と対策を確認します。
仮に電子データでパソコンの画面上で確認出来るとしても、ホワイトボードの前で一堂に会して直接会話することが肝要です。
パソコンの画面では見えない現場の問題が見えて来るはずです。
5.人事評価基準と給与テーブルを公開する
日系企業は社内で時間をかけて人材を育てる傾向があります。
そして、折角育てた貴重な人材を大手他社に引き抜かれて悔しい思いをすることもあるでしょう。
かと言って大手のような給与を出すことは簡単ではありません。
しかし、それを防ぐ対策はあります。
長期に亘りこの会社で真面目に働き続ければ将来の不安はないことを、人事評価基準と給与テーブルを公開することで納得させらるのです。
勤勉さ、啓蒙努力などが評価されるような人事評価制度を作り上げるのも現地法人責任者の大きな仕事です。
6.指示が理解されないのは上司の責任
日本人が相手でも一度説明しただけではこちらの意図を解ってくれないことが多々あります。
ましてや言葉も習慣も異なるインドネシア人が相手となると、そこには目に見えない高い壁が聳えていると思った方がよいでしょう。
耳にタコが出来るまで同じことを100回繰り返して説明するくらいの覚悟を持って、相手が理解出来ないのは上司である自分の説明が足りないと思う心がけが大事です。
そのためにもインドネシア語を勉強することは必須です。
インドネシア語の勉強は英語の勉強に比べて1/10程度の努力で十分です。
半年間、毎日30分勉強するだけでペラペラになれます。
こつは毎日一つ以上の語根を覚えることを目標とし、同時に接頭辞・接尾辞の使い方ルールも覚えて単語の数を増やすことです。
駐在予定者向けインドネシア語 1日1時間30日間特訓テキスト
7.五つの『あ』
その昔、作家の故城山三郎氏が発展途上国で仕事をする日本人に贈る言葉として作られたそうで、私も40年前にインドネシアに赴任する際に、上司であり元インドネシア工場長であった方から、毎日唱えるようにと教えられました。
あせるな
あわてるな
あたまにくるな
あてにするな
あきらめるな
1970年初頭から多くの日本企業がインドネシアに進出していますが、大きな成功を収めている企業の特徴をまとめてみると以下の様に言えると思います。
インドネシアに眠るまだ未開発の市場を見つけ出し、どの国の競合よりも早く現地に進出し、健全な経営基盤を持つ現地パートナーと協力し、日本の優れた品質を現地の多くの人達に提供出来る、現地の材料を活用して現地で生産する仕組みを作り上げた企業は成功している。