インドネシア進出のサプライチェーン構築とは何かを説明します。
輸出、販売拠点設立、あるいは生産拠点設立などのいずれの形であれ、インドネシアに進出するということは、サプライチェーンの構築または再構築を意味します。
サプライチェーンの構築とは、具体的には以下のような業務を行うことですが、インドネシアでのポイントを述べてみます。
サプライチェーンを可視化するための簡単な手法はここからダウンロード出来ます。
01.計画の最適化と同期化
サプライチェーンの三大プロセスである、調達・生産・販売のそれぞれの計画を統合して同期化すること、そしてそれらを月次、週次、日次に展開して現場の仕事を回します。
02.サプライヤ開拓と管理
インドネシアの場合はコスト面、政策面でこれからも現地調達の圧力は継続するでしょう。ローカルサプライヤの開拓は避けて通れない宿命です。
03.生産管理
年々値上がりする賃金と豊富な労働力を如何にバランス良く活用出来るのか、外注企業の活用も含め、現状維持で満足は通用しません。
04.販売チャネル開拓と管理
経済の6割がジャワ島に集中し、その半分以上が大ジャカルタ圏に集中する反面、日本の5倍の陸地と15000以上の島々からなる25倍の領域に広がる市場を如何に攻めるのか、日本国内での発想だけでは歯が立ちません。
05.ロジスティクス管理
道路事情や鉄道輸送がまだまだ未整備で、海上輸送が大きなウエートを占めるインドネシア特有の事情において、資材調達や商品納入に伴う輸送には独特の注意が必要です。
06.リスクマネージメント
輸入依存の大きい資材調達、頻繁な法令の変更、過酷な税務調査、先鋭的な労働組合、民族と宗教の軋轢等々突然のクライシスに対するリスクマネージメントは必須です。
07.データ管理
日本人とインドネシア人は共にどちらかと言うと情緒に訴えることが好きな民族です。しかし、仕事の計画、実績、分析、対策は必ずデータで表記して記録することが誤解を避けて意志の疎通を高める基盤です。
08.在庫管理
インドネシア事業のサプライチェーンは輸入依存や地理的な事情から往々にして長いものになります。在庫はゼロが目的ではありません。サプライチェーンが途切れないためのリスク回避要因であることを忘れてはいけません。
09.資産管理
サプライチェーンに必要な資産として、倉庫、トラックなどがあります。自前で所有するのかそれとも外注やリース/レンタルにするのが良いのか、色々と選択肢はあります。
10.財務管理
サプライチェーンの上を動くのは資材や商品ですが、それらの動きの全てが財務会計と連動して同期していることが鉄則です。
11.コンプライアンス
外国企業としてインドネシアで特に注意すべきは、労働法と税法でしょう。そして金額の大小に違いがあっても避けて通れないのが賄賂の扱いです。現地の法律事務所や会計士事務所と良く相談することが大事です。
12.ビジネスルール管理
日本の会社にも業務規定はありますが、空気のようにほとんど意識しなくても守られるのが日本の強みです。しかし、文化、歴史、言語、価値観の異なるインドネシアではそうはいきません。お互いが嫌な思いをしないためにも条文化して、随時レビューする必要があります。
13.パフォーマンス管理
社内の部門や人事評価だけでなく、サプライチェーン上にある全ての関連企業や組織を定期的に定量評価して、こちらの望む改善点を提示すべきです。言わなくても通じる文化はありません。
14.貿易管理
資材調達を輸入に頼る以上は、通関の時間や輸入税を少しでも有利な条件にすべく、乙仲の協力を得て常に工夫する必要があります。
以上はサプライチェーンについての説明ですが、これに市場開拓、製品開発、営業活動を加えるとバリューチェーンになりますが、これについては別途取り上げたいと思います。